ヒトはいかにして悪魔になるのか
メフィストフェレスが語る
「たましいを売る」とは(1)
今回の語り手は、悪魔メフィストフェレスです。
だから <ヒトはいかにして悪魔になるのか>。
「たましいを売る」とはどういうことなのかを語ってくれました。
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「たましいを売る」といっても、『あなたのたましいは、はい、おいくらですね』ではありません。
いくらかの対価に対して、なにかをさせるわけではありません。
「契約」ですから、
しかるべき時がきたならば、
わたし(あるいは我等)の下僕となって
うごいてもらうぞ
というのが、本来の形です。
目先の欲にかられるような誘いは、悪魔との契約ではない。
その、しかるべき時というのが、もう間近、目前にまで迫っているわけです。
その「契約の本当の中身」というのは、じつは誰も知らされていません。
なので、我等と契約をしているのかどうか、というのも、実質はその時がきてみないとわからない、という人間が多いのではないでしょうか。
ほら、あなたがた、じつは悪魔のことをほとんど知らないのですよ。
―お分かりになりましたか?
じつのところ、つまり “ 金銭の問題 ” ではないのです。
なんというのが適切かといえば、
信心の問題 あるいは 衷心の問題
なのですよ。
「あなたはなにに対して、その心をささげているのですか?」
という。
(次回につづく)
2023.7.21記