セオリツヒメが語る
日本の精神文化としての 御霊 怨霊 夜叉 悪霊
そして鬼(一)
<ヒトはいかにしてカミになるのか>
祓戸大神でもあるセオリツヒメからのご挨拶です。
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このたび、このような歴史のものがたりを記す場を設けてくださるとのことで、はじまりにあたって、ご挨拶を申し上げます。
日本の精神文化は、神、仏、人だけでなく、御神使や眷属、さらには動物たちまでが参加して、入りまじってつくられてきました。
すこし高尚ないいかたをすると、それらの相互の作用が綾をなした錦の織物。
それが日本の精神文化です。
くだけたいいかたをするならば、神仏と人、その他のものたちが、かけひきをくり広げながら、たえず作り出してきた歴史のものがたり。
神仏をおそれ敬いながらも、人間たちは負けじとあの手この手を繰り出してきます。
そこでは、身分の上下はあまり関係ありませんでした。
庶民たちは非常にたくましく、時には神仏を味方につけて、権力者たちと渡り合ってきました。
しかし神仏だって、不当な要求には黙っているわけにはいきません。
必要とあらばタタリを起こし、夢枕に立ち、眷属を差し向け、持っているものからは相応の御供をおさめさせ、持たぬものにはやさしくしてやり…。
そうやって神仏と人は、ともに暮らしてきました。
(次回につづく)
2023.6.6(火)記