ヒトはいかにしてカミになるのか(16)

他化自在天と 怨霊になる方法(3)

まあつまり、人間としてはあまり好人物とは言われない、言われていないわけですね。
それでもよければ、ということになります。

(セオリツヒメの談)
まともなふつうの人間は、ひとを恨むと自分自身がみじめになっていくので、耐えられないでしょう。

(ふたたび他化自在天の語り)
こういう、これらの条件を満たす人間は非常に少ないので、ほぼみな「夜叉・悪霊」になって終わりです。それもみじめでしょうねえ。

つまり、たんなる個人的な恨みつらみ、個人への恨みつらみだけでは、怨霊、「正式に認められる怨霊」にはなれないのです。
べつに菅原道真だって、藤原氏だけ恨んでいたわけではなかろうに。
くわばらくわばら。

「神仏になろう、神仏のごときものになろう」として、人間がなれるものは、「鬼」がいちばんちかいわけです。
怨霊といっても、ほぼ鬼。平将門などそうですよね。
だから最近のみなさんも、『鬼滅の刃』がお好きなんですよ。
むかしは「嫌なヤツは鬼に喰われてしまえ」とかいう願いは、たくさんありましたからねえ。
(次回へつづく)

2023.6.4記