他化自在天と 怨霊になる方法(15)
こうして見てくると、怨霊から神になるには、
・激しいタタリへのおそれから、転じて敬われる
・ひとびとの想像もふくめて、恐れられるうらみの内容が時代の状況や民衆の心情と合う
・そこから、多くの人の心のよりどころや不満の代弁者とみなされる
・託宣だと認めてもらえるところ、社を建ててもらえるところへ降りる
これらが必要なようです。
940年に討たれた平将門も、「怨霊」として精神世界から公式にみとめられていた存在です。
文人の菅公が神になる頃に、次世代の強烈な個性をもつ怨霊として武士の将門が登場してきたことも、とても興味深いです。
北野という場所
ところで、人知れず重要な意味をもっていたことがあります。
それは祀られた「北野」という場所です。
菅公が祀られる以前から、もともと北野には「天神」が祀られていたそうです。それは文字どおりの「天の神」で、天候や農業に関係する神だったようです。
北野には「天神様」が菅公より先におられたのです。
そこにあとから、カミナリと関係する菅公が合わせて祀られた、という縁です。
平安京の中心部は、いまの京都御苑よりも西にありました。
いまの通りの名前では、北は一条通、南は二条通、東は大宮通、西は御前通でかこまれている範囲が平安京の中心部にあたります。御前通(おんまえどおり)という名前も北野天満宮の御前という意味だそうです。
天満宮は、平安京の大内裏の北西の角のすぐそばに位置していました。
北野は京都の町にとって、とても大事な場所にあたっているのです。