ヒトはいかにしてカミになるのか(21)

他化自在天と 怨霊になる方法(8)

怨霊は神仏習合のたまもの

日本への仏教の公伝は、六世紀とされています。
この頃から、日本でもともと祀られていた神々と、仏教とともに日本にやってきた神仏への信仰が共存するようになり、奈良時代には合わせて祀られるようになりました。
これを神仏習合(しんぶつしゅうごう)といいます。
神仏習合は明治維新までつづき、千三百年ちかい歴史がありました。
日本は、文字の記録が残っている「歴史」がはじまったときには、すでに神仏習合の状態でした。

日本の神道では、ひとのミタマ(たましいとほぼ同じもの)はありますが、いわゆる「霊魂」のようなものは想定されていませんでした。
仏教が伝来してきて、日本人の意識のなかにも仏教的な死後の世界の知識や情報が入ってきました。
そして、ヒトの小宇宙の構造やエネルギー発生の仕組みが大きく変わり、「霊」が残るようになっていったと考えられます。

また立派な寺社仏閣が建てられ、神仏への祈願がさかんに行われたので、ヒトのさまざまな思いのエネルギーが集まり、溜まっていくことになります。
その結果として、怨霊や悪霊も生まれるようになりました。